作品紹介
ロストワード 失われた言葉たち
あだ名の使用禁止うんぬんの問題について考えながら書いた作品である。わたしが子どもだったころ、あだ名というのは、友達同士の間で、ごく普通につけられているものだった。正直に言って、あまり良いニックネームではなかったが、それでもお互いに不思議と仲良くやっていた。良いあだ名、悪いあだ名といったふうに区分けすることもなく、あだ名というものは良し悪し関係なしに誰でも付けられるものだと思っていたような節がある。
結局、あだ名というのは、子どもたちの問題であって、大人が余計な干渉をしてくることはなかった。よほど目に余る、ひどいニックネームをつけてしまった時は、先生にこっぴどく叱られてしまった思い出はあるが、基本的にはケンカしたり、女子たちからの集中非難を浴びたりしながらも、子ども同士で問題解決していたようである。雨降って地固まるという「ことわざ」があるように、取っ組み合いの大喧嘩をしたり、言い争いを重ねがら、お互いを理解し、知らず知らずのうちに友人とのキズナを深めていたのだ。だから、トラブルも多かったけど、わりとみんなで楽しく学校生活を満喫していた記憶がある。
ストーリーは、主人公のモモコが、テレビのニュースでニックネーム禁止条例が発令されたところからはじまっていく。刑法300条(渾名)が施行され、他人の名前を勝手に改ざんした者は、名誉大損害の罪となり、十年以下の懲役または、50万円以下の罰金に処されることに!!!モモコの通う青空小学校でも、あだ名で友達を呼ぶことが一切禁止となってしまう。
「エンドウさん」「ニカイドウさん」「サクラさん」といったふうに、あだ名を禁止されたモモコたち児童は、おたがいを「さん」付けで呼び合うことに。ところが、名字や、さん付けで相手の名前を言っているうちに、なんだかよそよそしい感じになってしまう。しだいに、クラス全体が険悪なムードに変わっていく。ギスギスして、どんよりとした教室内の雰囲気に耐えきれず、体調不良をうったえて早退したり、学校を休む生徒が続出。ズキズキと頭痛を起こしはじめたモモコも、ついに熱を出してダウン!
「みんなの名前を自由に呼ぶ権利を取り戻せ!」ニックネームの禁止により、陰でこっそりと悪いあだ名を使用して、お互いを罵倒しはじめた児童たちの陰険さに我慢できなくなった生徒会長のマモルが、憲法十三条の個人の尊厳を持ちあげて、「青空児童・自由革命戦線」を旗揚げ。なんとかして、元の明るい学校生活を取り戻そうとする。
「すべての児童は法の下に平等である!」憲法十四条の法の下の平等を振りかざすスクールポリスの教頭先生も、負けずに「みんな平等の原則に従わなければならない」と、あだ名の使用による差別禁止の治安維持法を押しつけてくる。
「生徒(国民)優先だ!」「学校(国家)優先だ!」名前を自由に呼ぶ『権利』を主張する児童と、社会のルールを守る『義務』を主張する学校側との間で激しい対立がおこり、ついには学園紛争へと突入。ところが、これは、ロボットがしかけたフェイクニュースだったのだ!ケータイゲームのやりすぎで重度のスマホ中毒となったセイジカたちにかわって、あらたにロボット内閣が誕生。陰で世界征服をたくらむロボット総理が、大規模なコトバ狩りをおこない、人間たちを窮地へと追いやっていく……。
腸内大戦争
もとは、出版社への応募作品として書いたストーリーである。ある日の夜、突然の腹痛に苦しむ女子高校生のミカちゃんの枕元に一匹の妖精が姿をあらわす。彼女の名前は、胃腸の妖精マイア。ミカちゃんの体をまもる守護霊で、お腹のなかで起きている「命にかかわる一大事」からミカちゃんを救おうとやってきたのだ。
なんと、宇宙征服をたくらむ悪名高きウンチ大魔王が、ミクロのサイズに変身し、ミカちゃんの体内に侵入。微生物や恐ろしい細菌などを大量発生させ、彼女を「バイキンたちのあこがれのホスト(宿主)第一号」に仕立て上げようとしていたのだ!
地球から百万光年はなれたポチョムキン星から、はるばるやってきたウンチ大魔王の究極の目的は、地球をバイキンの楽園にし、宇宙征服の足がかりにすることにあった。さらには、人間たちをウンチの奴隷「魔人プー」へと変え、思いのままに操り、世界をウンチ一色のクソまみれにしてしまおうという恐るべき野望を抱く。
思いもよらぬ緊急事態の発生により、ミカちゃんは妖精の星の魔法で、髪の毛からつくったクローンの「チビミカ」に変身して、みずからの体内へと乗りこんでいくことに。ところが、そこでは数々の災難が彼女たちに降りかかってくる。
病原体との戦いは起伏に富んでいる。胃では、胃がんの原因ともなるピロリ菌が大発生。胃酸にも溶けず、アンモニアのバリアーを張りながら胃の中で唯一生存することができる強力な細菌たちに、ミカちゃんは大あわて。さらに小腸では、白血球グループのひとつ、好中球部隊が体内を防衛するため出動するが、腸炎ビブリオとの戦いに敗れて次々と倒れていく。終盤では、大腸で相次ぐバイキンの登場に苦戦を強いられる。凶暴なウイルスが原因で、サイトカインストームが発生、味方の免疫細胞たちが同士討ちを始めてしまうのだ!
「世がみだれ人の心がみだれると、それに乗じてウイルスたちも免疫力の低下した人間たちに感染、パンデミック(大流行)を引き起こす!」さらに追い討ちをかけるかのようなウンチ大魔王の捨てゼリフにより、ミカちゃんは絶体絶命の大ピンチにおちいっていく。
ラストの解決編では、NK(ナチュラルキラー)細胞から進化した、天下無敵のJK(女子高生)細胞の登場により、腸内のバイキンを一掃、ウンチ大魔王の撃退にいたる。これにて、一件落着。めでたしめでたし。
つれづれなる日々
わたし自身の苦悩と葛藤の日々を書きつづったショートエッセイである。宇宙防衛軍のペンネームで電子書籍を販売したのはいいが、これがまったく売れない。面白いほどに売れない。思わず笑いが出てしまうほどに売れない。それでも、ひたすら書き続けていた。ただ、書いて書いて書きまくる日々を過ごしていたのだ。


